所得税の確定申告とは…

 
毎年1月1日から12月31日までに得たすべての所得(事業・不動産・給与・年金等)を計算し、申告・納税する手続きのことです。税金を正しく正確に申告するためには、毎日の取引において経費や売上などをきちんと帳簿に記入していくことが重要です。
お手持ちのパソコンから会計ソフトを活用し日々の取引(仕訳)を入力することで、青色申告控除額65万円が利用でき、また決算書から申告書までの書類を作成することも出来ます。(不動産所得の場合、事業規模の条件を満たすことが必要)
 
 

①日々の取引

 

領収料等、取引等に関して作成又は受領した帳簿書類は、その事業年度の確定申告書の提出期限から7年間保存しなければなりません。
 現金での取引は、履歴が残りにくく、日にちが経過すればするほど思い出せなくなります。領収証を日にち順に管理すること、毎日の現金残高の管理をきちんとする為にも現金出納帳や日計表の記入が大切です。新規開業の場合、事業用に新しく銀行口座を開設することをお勧めします。

②売上(収入)・仕入・経費科目
  (営業のために、販売促進のために必要なもの)の集計

  

売上科目
判 定※
該当項目
売上 課・非 商品売上、商品券売上など
雑収入 課・非  主な収入以外の収入、受取保険金、リベートなど

 
仕入科目
判 定※
該当項目
仕入 課・非 商品仕入、土地の仕入など

 
経費科目
判 定※
該当項目
租税公課  事業税、固定資産税、自動車税、不動産所得税、登録免許税、印紙代、会費、組合費など 
荷造運賃  課・不  包装材料費、宅配便代など
水道光熱費  水道代、電気代、ガス代、灯油代など  
旅費交通費  課・不 バス代、タクシー代、宿泊代など
通信費  課・不 電話代、切手代など  
広告宣伝費  課・非 広告掲載費用、サービス券の印刷費用、店名入りの販促物の作成・購入費など
接待交際費 課・非・不 飲食代、来客用の茶菓子代、中元、歳暮、慶弔などに要する費用 
損害保険料  火災保険料や車輌保険料などの損害保険料 
修繕費  壁の塗替、床の取替、ベルト、タイヤの取替など 
消耗品費 事務用品、ガソリン等、使用可能期間が1年未満のもの、取得価格が10万円未満のもの
福利厚生費  課・不 従業員との打合せ時の飲食代、事業主が負担すべき、健康保険・労災保険・厚生年金保険・雇用保険など
給料賃金 従業員に対して支払う給料、賞与、手当など
利子割引料  金融機関からの借入金の利子
減価償却費  減価償却資産の減価償却費 
地代家賃 課・非 店舗・駐車場・倉庫などの土地、建物の賃借料 
外注工賃  業務の一部を外部へ委託して支払った費用
支払手数料  課・非・不 販売手数料や支払手数料、リベートなど 
雑費  課・非 いままでに述べた経費科目に当てはまらない経費 
専従者給与  青色専従者に支払った金額 

 
 
 ※「判定」欄の表示
課・・・国内で事業の対価を得て行う取引など
非・・・課税対象になじまない取引  例)土地の譲渡、損害保険料、郵便切手の譲渡など
不・・・課税されない取引  例)国外取引、従業員への給与、慶弔費や見舞金など
 
 

 
支払っているものの中には、経費とならないものがあります

例えば、個人に対して係る税金である所得税・相続税・住民税・延滞税・罰金など、個人的に加入している交通傷害保険料・生命保険料などです。
 

支払っているものの中には、比率によって経費になるものもあります

店舗と自宅が併設されている場合には、その建物に係る固定資産税や火災保険料 、土地や建物などの賃借料が床面積の比率などで按分できます。
水道・電気・ガス代・携帯電話代や乗用車の経費(車検代・自動車保険料)は、利用頻度の比率によって経費に計上出来ます。
 

節税対策は決算日までに

個人事業主の場合、確定申告の期日は3月15日ですが、 12月が決算となるため、12月31日までに節税対策をしなければ なりません。そのためには、定期的に損益計算書を作成するなどして、自分の儲けた額をはっきりと把握することが大切です。
 

国が『経営者にも退職金を!』というスローガンで
【小規模企業共済】という制度を作っています。
メリット:掛金全額が所得控除になります。
毎月の掛金月額は、1,000円から7万円までの範囲(500円刻み)で自由に選べます。
払い込んだ掛金合計額の範囲内で、事業資金などの貸付け(担保・保証人不要)が受けられます。
個人事業を廃業したり、退職した場合などに、受取方法が選べ、受取時には「退職所得扱い」又は「公的年金等の雑所得扱い」となります。
津山商工会議所でお申し込み頂けます。
詳しくは中小機構ホームページ ⇒http://www.smrj.go.jp/skyosai/index.html

③決算書作成とは…

貸借対照表(財産状態がわかる)・損益計算書(儲けがわかる)などの財務諸表を作成することです。

 
④決算書より収入金額・所得金額を決定

収入金額=年間売上額  所得金額=売上額から経費をひいた額=儲けた額

 
⑤所得金額から各控除を引いて、課税所得金額が決定

社会保険料控除は年間に支払った全金額が控除額となり、医療費控除・生命保険控除・地震保険控除は支払った金額に応じて控除額が決定します 扶養控除・基礎控除(38万円)もあります。
 

年間の支払額によって算出される控除

控除の名称 控除の概要 所得税計算での控除額
雑損控除 災害や盗難などによって損害を受けた 損失額に応じて
医療費控除  病院などで医療費を支払った 支払った医療費 − 保険金など −総所得の5%or
10万円 (年間所得200万円以上)
社会保険料控除  国民健康保険や国民年金を支払った場合 その年に支払った金額を全額控除 
小規模企業
共済等掛金控除
指定された共済や個人型年金などを支払った その年に支払った掛金を全額控除
生命保険料控除 生命保険料を支払った 年間の生命保険料によって算出(最高12万円) 
地震保険料控除 地震保険料を支払った 年間の地震保険料によって算出(最高5万円) 
寄付金控除 寄付をした 特定寄附金 − 2000円 

 

本人もしくは家族の状況によって算出される控除

控除の名称 控除の概要 所得税計算での控除額
寡婦・寡夫控除 夫または妻と離婚や死別した場合など 27万円or35万円 
勤労学生控除 納税者が勤労学生の場合 27万円
障害者控除 納税者、あるいは控除対象の配偶者や扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合 27万円or40万円or75万円 
配偶者控除 控除対象になる配偶者がいる場合 38万円(配偶者が70歳以上の場合は48万円) 
配偶者特別控除 配偶者に38万円を超える所得があり、配偶者控除を受けられない場合、配偶者の所得金額に応じて受けられる控除 配偶者の所得に応じて算出(最高38万円)
扶養控除 扶養家族がいる場合 基本的には38万円(扶養親族の年齢により異なる) 
基礎控除 この控除は納税者全員に適用されます 38万円 

 ⑥課税所得金額に税率を掛け所得税額が決定

 

課税所得金額 税率 控除額
195万円以下 5%
0円
195万円超330万円以下 10%  97,500円
330万円超695万円以下 20% 427,500円
695万円超900万円以下 23% 636,000円
900万円超1,800万円以下  33%  1,536,000円
1,800万円超4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円
 

【課税される所得金額が700万円の場合】
700万円×0.23-636,000=974,000円
(税額)
※平成25年から平成49年までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)を併せて申告・納付することとなります。

 

⑦納付

所得税・消費税等の納税は期限内に納付しない場合、延滞税がかかります。銀行口座等からの振替納税の手続き(税務署へ提出)をしていれば、納付期限が約1ヵ月伸びます(引落口座の残高確認が必要となります。)